nikki

2023/06/28

長く続いている「もの」や「こと」を考える

先日〈 D&DEPARTMENT KYOTO 〉さんへ行きました。
D&DEPARTMENTと言えばグラフィックデザイナーでありデザイン活動家のナガオカケンメイさんが創設された「ロングライフデザイン」をテーマとする活動団体。(ほぼ公式サイトより引用させて頂きました。詳しくはコチラ→公式サイトをご覧ください。)

最近、民藝に興味を持ち始めたので日常で使えるアイテムを購入しに伺いました。民藝に興味を持つキッカケはナガオカケンメイさんがパーソナリティをされている「ロングライフデザインラジオ」。そこで民藝の奥深さや、作り手の想いに触れたのが大きなキッカケです。
とはいえ、今まで民藝に深く触れて来ませんでした。一体どこで探せば良いのかと思い巡らせ、とにかくまずはD&DEPARTMENT KYOTOへ行こうと足を伸ばしました。

D&DEPARTMENT KYOTOは佛光寺というお寺の境内にあり、知らないとまず辿り着けない場所。
そのお店は何とも趣のある外観をしています。

お店に着いたものの、この日はとにかく歩いたのでとてもお腹が減っており・・・商品を見る前にお店の斜め前にある〈d食堂〉でランチを頂きました。
このd食堂もD&DEPARTMENTが運営しているレストランです。

d食堂の入り口にある扉、そこに書かれた「生ビールあります」が何とも言えない味があります。
レストランもとても良い雰囲気で素敵だったのですが写真を撮るのをすっかり忘れていました。d食堂には縁側もあり、満席の場合は縁側に腰掛けてのんびり待つというのも良い時間のひとつです。

メニューの1ページ目にはナガオカケンメイさんのD&DEPARTMENTを創った想いが丁寧に綴られています。

散々悩み、この日は定食を頂きました。京都の山田精油さんのごまやごま油を使った胡麻三昧の定食です。(公式ブログにこの定食ができるまでの丁寧な解説がありました→公式ブログ)
お食事を運んでくれたスタッフさんが一品一品、お料理の特徴を説明してくれました。山田精油さんがいかに丁寧にごま油を作られているかも教えて頂き、「ご自宅でもお味噌汁にすり胡麻を入れてみてください」といったお話しもして頂き、スタッフさんからも定食へのこだわりを感じずにはいられませんでした。そんなお話しを聞いたからか、味も一層美味しく感じる気がしました。(奥のお皿にある胡麻を衣にした唐揚げが本当に美味しかったです。)

お腹を満たした後はお店へ行き、色々と物色。。。しつつ、お目当ては決まっておりました。
「お箸」
実は興味を持つまで民藝とは何かを良く分かっておらず〈何だか特別なもの〉という感覚がありました。よくよく調べると、〈柳宗悦〉という人物が「無名の職人によって作られた民衆の日用雑器に美しさを見出し、その価値を人々に紹介する」ために「民藝」という言葉を生んだそうです。
なるほど、民藝は全く特別なものでは無く生活に根付いていたもなのかと知り、それならまずは毎日使う食器から取り入れようと思い立った訳です。

購入させて頂いたのは高野竹工(株)さんのお箸。
店内でどのお箸にしようか迷っていたら、ここでもスタッフさんが丁寧に説明して下さいました。竹を自ら育てて加工されているそう。私の選んだものは8角形に削られたもので表面の黒い斑点は竹の成長過程でヒビが入ることで生まれる自然の柄です。
お箸の長さも22.5センチと24センチがありどちらにするか悩みながらも、そういえばお箸の長さすら気にして購入した経験が無いな・・・と改めて気づき、毎日使う道具への無頓着さを実感しました。
私の持っているお箸の中では最高級品、大切に長く使おうと思えるものに出会えました。

この仕事を続けていると、「デザインとは何だろう」と考える事があります。長く愛されたり、使われ続けたり、記憶に残ったり、、、長く続く価値を生むのがデザインだと思っています。ただ、そんなデザインをして行きたいと思いながら、なかなか難しいのも現実。消費されるデザインも必要だと割り切る事もあります。
そんな事を考えるとD&DEPARTMENTは「ロングライフデザイン」をテーマとした活動自体がデザインだなと感じます。とても軸のあるデザインはなかなか真似できる事では無いです。憧れにも似た想いでD&DEPARTMENTを眺めてしまいます。私の力では出来る事も限られてきますが、長く続く価値を作りたいという想いだけはしっかり持ってデザインというものに向き合って行ければと思います。

今回、とても良いお箸を手に入れたので、次はお茶碗を、その次はお椀を・・・と少しずつですが民藝を日常に取り入れていこうと計画中。
長く続いていくデザインを考えながら、私自身もデザインを長く使い続けて行こうと思います。